「和の環境と彫刻」
児玉先生は1970年以来、高槻市に在住され、公共のモニュメントおよび、環境造形作家として、日本各地に作品を設置されています。
京都芸大で彫刻、建築家浦辺鎮太郎氏の元で建築設計、その後ミラノに留学、環境造形を学び、帰国後環境造形研究所を開設され、
ステンレスや石材を主素材に設置場所の設計から周囲の地形、景観、風景、
さらには冬至や夏至の太陽の運行まで計算にいれた
造形は従来の彫刻の概念では測れない壮大なものです。
それらの作品は、古代中国の環境哲学、陰陽思想の研究より
得られた東洋思想を根底に創作されています。
1980年のコンペによる高槻市民憲章モニュメントは市庁舎の南北中軸線上に配置され、
冬至の太陽光による影は、日時計の役割を果たしています。
2003年の尾道市立美術館前に設置された石と水を使った環境造形は、
作品中央の穴を通る中心軸は、対岸の山頂を向けて計画され風景を取り込んだ作品になっています。
尾道の古代都市構造(尾道三山に有る三古刹、浄土寺、西国寺、千光寺は対岸の山頂に向いている)
の研究により生まれた作品だといわれています。
初期の作品から現在の環境造形作品に至るまで、形態は変化してきますが、
背後に連綿とした東洋的造形思想に流れを感じる事ができます。
これらの造形は個性的でありながら調和のとれた環境を創出しています。
さて、今回の作品は、「和の環境を彫刻」をテーマに、1987年倉敷まちかどの彫刻展以来、追求されている
「とろける造形シリーズ」の延長上の石調の小作品です。